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あっ、みつかっちゃった。これからもよろしくm(__)m

HOPE OF THE STATES の真摯な魂

HOPE OF THE STATES @ BANANA HALL 2004/11/28 Sat

映像と音楽の相乗効果。
HOPE OF THE STATESのライヴ中、そんな言葉が頭をかすめた。

彼らのライヴには映像が欠かせない。
HOPE OF THE STATESの曲の題材は、政治的なものが多く、アルバム「THE LOST RIOTS」のテーマは「喪失感」。失われたものを慈しみ、嘆き悲しむ中から、新たな希望を見出そうとする。実際、深い喪失感を彼ら自身も味わっている。アルバム完成直前、ギタリストのジミーが自殺してしまったのだから。。

ステージ背面のスクリーンには、様々な映像、空を覆い尽くす爆撃機、爆弾、崩壊していく街、傷ついた人たち、が白黒のアニメや、実写で写されていき、バンドの演奏と共に重要な役割を果たしている。

時々演奏が粗くなる箇所も見られたが、曲によってはメタルバンドが裸足で逃げ出すくらいヘヴィな轟音をとどろかせることもあり、迫力もあった。6人組のバンドで、ツインギターにベース、ピアノ、オルガン、ドラムス、そしてヴァイオリン(!)と使用楽器も多彩で、結構分厚い音になっている。特にマイクのヴァイオリンがサウンドの要なので、彼の演奏には皆が注目していた。(の割りにヴァイオリンソロはなかったが。)
ヴォーカルのサムは、1曲目こそ弱弱しく感じたものの、ライヴがすすむにつれて本領発揮。しなやかで感情のこもった歌を随所で聴かせてくれた。

映像と音楽の効果がよく発揮されていたのは、ライヴの序盤で演奏されたアルバム1曲目のインストゥルメンタル、「
THE BLACK AMNESIAS」。
スクリーンには、空を飛ぶ爆弾が無数に浮かび上がり、不気味な黒い烏のイメージともダブり、曲のクライマックスをより一層説得力のあるものにしていた。映像は音楽のイメージを固定するものではない。曲のイメージを増幅させていくマジックだ。
中盤の「
THE RED THE WHITE THE BLACK THE BLUE」では、1つのフレーズごとにめまぐるしく歌詞が流れていく、昔MTVで流行った手法が使われていたのがとても面白かった。歌詞カードがアルバムについていないので、歌詞がわかったのも嬉しいおまけだった。

アンコールで演奏された、シングルカットソング「
BLACK DOLLAR BILLS」のパフォーマンスは、今回のライヴ最大の見せ場だった。
ヴォーカルのサムがピアノを弾きながら歌う。その姿をダブらせた白黒アニメの顔のない男。スクリーンに広がる殺伐とした風景の中、1人黙々とピアノを弾いている。
曲の展開につれてアニメの男はやがて、ギターを手に持ち歩き始める。黒い雨?が降る中を。
脱線した列車は街が爆撃されていることを端的に表している。
バンドの演奏も緊張感を伴ない、スクリーンの男を目で追いながら物語&演奏は静かにすすんでいく。
スクリーンでは、遂にバンドが結成され、演奏シーンになっている。実際のステージ上でもメンバーが迫真の演奏を繰り広げている。
曲のクライマックスでは、スクリーンのバンドの動きと実際のメンバーの動きが見事にシンクロし、息をのんだ。映像と目の前の現実がクロスオーバーする鮮やかさは新たな感動を私に呼び起こしてくれた。

ライヴの終わりはインストゥルメンタル曲で、破壊的なギターのリフレインの残響音を鳴り響かせる仕掛けを残して、ヴォーカルのサムは一番最後にステージから去っていった。

HOPE OF THE STATESのライヴには、確かに派手さはなかった。が、丹念に音楽を紡いでいく姿勢には心を打たれた。それに平和を願う強い信念にも。

これからも彼らにはその真摯な音楽を貫いて欲しいと思っている。それは自殺したギタリスト、ジミーの願いでもあると思うから。。


2004年12月09日




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